口腔外科小手術

親知らずの抜歯

親知らず(智歯)は、歯槽骨の最も奥に位置する第三大臼歯です。通常、親知らずは歯槽骨の深くに埋まった状態か、斜めや水平に埋伏していることが多く、なかには歯根が異常に彎曲していたり、肥大していたりする場合もあります。親知らずの抜歯は一般歯牙の抜歯とは異なり、専門的な技術が要求される処置となります。

親知らず抜歯のプロセス

局部麻酔 → 切開 → 剥離と削骨 → 歯肉を剥ぎ、骨(歯槽骨)の削り → 歯の分割 → 歯冠と歯根の分割 → 抜歯 → 洗浄と縫合 → 抜歯した部位にガーゼを咬ませ、、止血 → 1週間後抜糸

親知らずの抜歯が必要な主なケースは

1.親知らずが骨の中に完全に埋まっている(埋伏)、あるいは斜めや横向きに生えている場合

2.食べかすが親知らずと手前の歯(第二大臼歯)の間に詰まりやすく、磨き残しによってむし歯(両歯とも)になってしまった場合

3.歯が生えるスペース不足のため、歯ぐきが被った状態で部分的にしか萌出せず、歯ぐきが繰り返し腫れたり(智歯周囲炎)、嚢胞ができる場合

4.親知らずの周囲の炎症(智歯周囲炎)が重度の歯周病に発展し、手前の歯の歯槽骨を溶かしてしまう場合

5.矯正治療中または治療後に、親知らずの萌出によって歯並びを乱したり、歯列を押し出して矯正効果を台無しにする恐れがある場合

6.手前の歯(第二大臼歯)に被せ物や詰め物がある場合、親知らずが接触することでそれらを傷めたり、外れやすくする場合

7.下の親知らずを抜歯した後、噛み合う上の親知らずが伸びて下がってきて、歯ぐきを傷つけたり、噛み合わせに干渉する場合

歯根端切除術

通常の根管治療では改善しない、或いは再発する歯根の先端の病変や膿袋を外科的にとり除き、歯根の先端をカットして特殊なセメントで封鎖する処置です。

歯根端切除術が必要とされる主なケースは

1.歯茎(歯根の先端付近)に膿の出口ができている場合

2.神経の治療(根管治療)後も痛みや違和感が治まらず、炎症が再発・悪化している場合

3.自覚症状(激しい痛みなど)がなくても、レントゲン(X線)写真で歯根の先に持続的な病変(感染)が確認される場合

4.何度も神経の治療をやり直すことが現実的でない、または従来の治療では改善が見込めない場合

歯根端切除術の流れ

1.治療が必要な歯根の先端部を正確に特定するため、X線写真や歯科用CT(3次元画像) を用いて詳細な検査を行う

2.局部麻酔を完全に効かせた後、歯茎を切開してめくり上げ、病変部(炎症を起こした組織)を除去

3.感染している歯根の先端部分を数ミリ切り取り、内部を十分に洗浄・消毒

4.細菌の再侵入を防ぐため、切断面から見える根管の内部を生体親和性の高い特殊なセメント(MTAなど) で緊密に封鎖

5.病変によって骨が失われている場合、その部分を骨補填材(移植材料) で充填し、骨の再生を促す

6.切開した歯茎を縫い合わせ(縫合)、治療は終了

根尖切除術が適用される歯の範囲は

上顎: 左右両側、前歯から第1大臼歯まで

下顎: 左右両側、正中側切歯から第1大臼歯まで

歯根端切除術が適切ではないケースは

  1. 病変(炎症)の範囲が極めて広く、外科処置による回復が見込めない場合
  2. 歯根に大きなひび(破折)や亀裂が入っている場合
  3. 重度の歯周病により、歯を支える骨(歯槽骨)が大幅に失われており、歯の予後が不良な場合
  4. 上顎の歯根が上顎洞(副鼻腔)と極めて近接している、または貫通している場合(術後に上顎洞炎を引き起こすリスクがあるため)

歯根端切除術後も再発することはありますか。

はい、炎症が重度の場合には再発する可能性があります。再発した場合、炎症の悪化度合いによっては、抜歯を検討・ご提案することになります。